関節リウマチとは?

関節リウマチは、免疫の異常により関節の滑膜などに炎症を起こして、関節の腫れや痛みを起こし、進行すると関節の変形や破壊を引き起こす病気です。男女比は、1:2-3と女性に多い病気で、日本における患者数は約80万人と推定されております。

関節リウマチでは、関節滑膜組織に炎症細胞が出現し、サイトカインという炎症物質(TNFαやIL-6など)が放出されます。これらの物質によって、関節内に炎症反応が引き起こされ、関節の内面を覆っている滑膜細胞が増殖し、腫れや痛みを引き起こし、軟骨や骨の破壊が進んでいきます。

関節リウマチの診断は、2010年に欧州リウマチ学会と米国リウマチ学会が共同で作成した基準を用いております。具体的には、関節の腫れまたは痛みのある関節の数(小関節と中・大関節にわけて)、自己抗体(RFや抗CCP抗体)の有無、滑膜炎の期間(6週以上か未満か)、炎症反応(CRPや赤沈)の4つの項目において、それぞれスコアをつけ、10点満点のうち6点以上で、関節リウマチとみなします。ただし、関節リウマチ以外の疾患でも、関節の腫れや痛みをきたす疾患がありますので、これらの疾患を除外する必要があります。

関節リウマチの薬物療法には、非ステロイド性抗炎症薬(消炎鎮痛薬)、副腎皮質ステロイド、抗リウマチ薬、生物学的製剤、JAK阻害薬などがあります。また、すでに関節破壊が進行している場合、外科的治療も考慮されます。

関節リウマチと診断されたら、症状を和らげるお薬に加えて、関節が壊れるのを防ぐためにメトトレキサートなどの抗リウマチ薬の内服が必要となります。最近は、抗リウマチ薬に加え、生物学的製剤やJAK阻害薬などの新しい治療薬が開発され、早期に治療を開始すれば、関節リウマチの進行を止めることが可能となりました。関節リウマチと診断されたら、まず抗リウマチ薬の内服を行いますが、それでも症状が改善しない場合は、生物学的製剤やJAK阻害薬というお薬を使うことが推奨されております。

生物学的製剤には、炎症物質であるTNF-αをターゲットとしたもの、IL-6の受容体をターゲットとしたもの、T細胞の活性化を抑制するお薬があります。いずれも注射薬となります。薬によって投与方法や投与間隔が異なります。

JAKとはヤヌスキナーゼ(Janus kinase)の略称で、細胞の外からの刺激を細胞の中に伝えるために働く酵素のひとつです。関節リウマチではサイトカインという炎症物質が細胞の表面にある受容体に結合し、細胞内に刺激を与えますが、その際に必要な酵素であるJAKを阻害することで、炎症のシグナルをブロックすることができます。このような作用をもった薬をJAK阻害薬といいます。JAK阻害薬は経口薬で、毎日内服するお薬です。

外科的治療には、滑膜切除術、関節形成術、関節固定術、人工関節置換術などがあります。関節破壊により日常生活に支障がある場合や痛みが強い場合など、整形外科と連携し、外科的治療について検討する必要があります。

参考文献 リウマチ情報センター

文責 金沢医科大学血液免疫内科学 山田和徳